パラレルワールドシンメトリー
「もしも俺が道を誤ったときは、お前が俺を救ってくれる。そうだろ?」
「うん、約束する。この身を呈してでも」
その約束の通り、フローはダイを救った。
一度手にしたら二度と手から離れない滅びの剣を手にして黒い獣に飲み込まれ、ダナトリアへの復讐の心をもって数多の人を斬り殺し続けたダイ。
復讐の闇に沈みそうになったダイを自ら殺すことで救うと誓い、フローは旅に出た。
旅の中でフローは深い傷を負った。
腕、耳、歌声も失って満身創痍のフローは、文字通り身を呈してダイの復讐を止めた。
ダイとフローはこんな約束をしたかもしれない。
「もし僕が道を誤ったら、今度はダイが僕を救ってくれる。そうだろ?」
「うん、約束する。生まれ変わってでも」
時は経ち、ここは少年刑務所。
大切な人を奪った看守長に自らの手で復讐すると決意した村田宗次郎。
看守長に銃口を向け、いよいよ引き金を引くとき、村田の足に縋って復讐を止めたのは深い傷に倒れた柿本拓未だった。
「一度汚れたら、なかなか落ちないから」
拓未の声を聞いて村田は銃を下ろした。
「なんでやろなぁ、村田さんこないだ会ったばっかりやのに、この人の手だけは絶対汚したらあかんって思って…気付いたら村田さんとこ行ってた」
「柿本の声聞いたらなんか力抜けて。不思議ですよね、この前初めて会ったばっかりなのに」
そんな世界があるかもしれない。なんちゃって。